カワコッチ

倉茂大輔 | 有限会社倉茂木工所

2021. 03. 22.
Text: photo creation pupa
Photo: photo creation pupa

ー 家具には欠かせない木製の部品づくり ー
旋盤での丸棒加工を得意とする倉茂木工所。家具の脚や取手、フックなどの家具装飾の製作を行なっています。昭和13年の創業当初から木材加工を生業とし、農耕具の柄や大工道具など、鍛治関連品を製作。昭和55年頃から、現在の脚物家具のパーツ作りへ移行しました。無垢材や木質系素材の切削加工、研磨、塗装、組立までを自社工場で一貫して行っており、お客様のニーズに合った柔軟なものづくりを目指しています。
今回は倉茂木工所の4代目、倉茂大輔さんにお話を聞きました。

ー 社長として事務作業もこなす。でも旋盤は負けられない ー
倉茂さんの日常業務は多岐にわたり、お客様のメールや電話対応から見積もりや発注作業まで手広く行います。社長として多忙な日々を送りながらも、今でも現場に出て作業をすることもあるという倉茂さん。
「旋盤作業は誰にも負けたくないですね。」と職人としての矜恃を見せてくれました。入職当時は覚えなくてはいけない技術や知識がたくさんありすぎて大変な思いもたくさんしたそうです。
「それでも、辛いや辞めたいとは考えなかったですね。そんなことを考える余裕もないほどに忙しかったです。」

ー 五男の末っ子が家業を継ぐ ー
5人男兄弟の末っ子として生まれた倉茂さん。小さい頃から家を継ぐことは考えたことはなく、両親からも継いで欲しいを言われたことはなかったといいます。兄の影響でバイクが好きだったこともあり、高校卒業後は5年ほど自転車やバイク関連のお店で勤務。しかし、上の兄たちが誰も家業を継がないとわかると、実家のことが気になり始めます。自宅の隣に工場があった幼少期、忙しく働く両親の姿を見ていたこともあり、ここで継がずにいるのは惜しいと思うようになった倉茂さん。バイク関連会社を辞め、木工の世界に入ります。
「お客様の要望に応える整備や、修理をするときの対応でサービス業の心得を学べたと思います。」
一見関係なさそうに見える前職ですが、そのときの経験が確実に家業に生かされているようです。

ー 当たり前のことを、当たり前にする仕事 ー
家業に入り、今や会社を背負う立場になった倉茂さん。社長としての信念を問うと、日頃見落とされがちな大切なことを教えてくれました。

「依頼された仕事はできないと言わないようにしています。機械のスペック上、どうしても自社で加工できないものはお断りすることになってしまいますが、少し難しい加工でもチャレンジだと思ってお受けしています。あと、納期を必ず守るという当たり前のことを徹底しました。」

社長に就任するまでは当たり前のことが徹底されていなかったこともあり、これはしっかりしなければと思ったそうです。今では納期の管理が行き届き、社員の中でもその考えは広まってきています。

ー 部品づくりと自社製品の両立へ ー
入職当時から自社製品を作り、自分たちで販売したいという思いがあったそうです。既存の部品作りももちろん大事な仕事ですが、部品作りのノウハウを生かし、今後はインテリア小物などの自社製品も作っていきたいと意気込みます。新型コロナウィルス感染拡大の影響でHPやSNSからの問い合わせやレビューが増加。おうち時間の増加がインテリアへのこだわる人が増えているのではないかと倉茂さんはいいます。

ー 「木製インテリア」が、これからのおうち時間の主役に ー
取材をさせてもらった事務所には、フレームが木で作られたパーテーションや、木の花瓶に生けられた観葉植物など見たこともない商品が並びます。おうち時間が増えてきたこのご時世に温かみのある木のアイテムは今後さらに需要が増えていきそうです。